見てきました。法廷ものらしかったので、法学部の身として興味がありまして。

まぁ、やっぱり当たり前にエンターテインメントでしたが。
たしかにある程度嘘（フィクション）じゃないと金になりませんものねw

ストーリーは書きませんが、やっぱ警察の公正とはいえない取調べ・・・まぁ代表的なものに代用監獄問題なんかがあると思うのですが、そういうのを問題にした(代用監獄自体は出てきませんが）のは良いかも知れません。

まぁ・・・もろもろ含めて・・・現実ではありえない話です。

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以下、ちょっとネタばれっつーか、室井さんの問われた罪状について自らの勉強のためにも書いておきます。
よって、見たくない方は見ないでください。

共同共謀正犯

共謀共同正犯とは、簡潔に言うと
共謀者の一部が犯罪をした時、共謀に参加した全員が犯罪の実行をしていなくても共同正犯としての責任を負う、ということです。
手元に判例百選があるので、実際の判例を紹介したいと思います。

最高裁昭和33年5月28日大法廷判決

昭和29年（あ）第1056号　傷害致死暴行暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、窃盜

最高裁の判例検索で上記の番号を入力すればでてきます。
http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf

・・・ここで判例百選を丸写しすると何かと問題になる・・・かな？と思ったので、端折って書きます。

製紙会社で発生した労働争議に際して、第1組合と第2組合が対立しました。
　　　　　　　　↓

警察署巡査Bがこの紛争の処理に当たりました。

　　　　　　　　↓

被告人XとY（おそらく第1組合員）は、
第2組合の委員長A及び巡査Bに対して第1組合員が反感を抱き、またそれが高まったのを利用して、
AとBに暴行を加えることを計画しました。

　　　　　　　　↓

XとYは共謀して（相談して）、具体的な実行の指揮なんかはYがその任に当たることを決めました。

　　　　　　　　↓

Yの指導、連絡によって、被告人Z他数人がBを誘い出して鉄棒なんかで後頭部を滅多打ちにして、脳挫傷によりBを死亡させました。

さて、実際の滅多打ちにはXとYは参加してませんでした。
（たぶんその場にもいなかったんじゃないですかね。）
実際に手を下したのはZらです。

ここでXとYにも、Zらが問われる傷害致死罪が適用されるか、が問題になるわけです。

最高裁の判決は、
現場における襲撃に参加しなかったX、Yを含む全被告人について傷害致死罪の共同正犯の成立（平たく言うと、全員、傷害致死の罪になるということ）を認めました。

実際、共同共謀正犯論は実行犯だけでなく、それを操る黒幕をも処罰しようという趣旨なのです。

この共同共謀正犯が適用されなければ、黒幕は教唆、幇助の罪ぐらいにしか問えず、実行犯より重い罰を与えることができません。実質的には実行犯よりも重要な役割をしていたとしてもです。

この判決において、最高裁は

「いわゆる共謀共同正犯が成立するには、二人以上の者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よつて犯罪を実行した事実が存しなければならない。」

と、しています。

共謀の内容はかなり広く、「数人相互の間に共同犯行の認識があること」が共謀にあたり、また暗黙のうちに意思の連絡があれば足りるとされています。

しかし！
共同共謀正犯を適用するためには、共謀について厳格な証明が必要とされています。

ここでようやく室井の話に立ち戻るわけですが(長かった・・・）、共謀の存在について厳格な証明がなされるわけもない以上（室井に特別公務員暴行陵虐罪を犯す意思はないと考えられる。「冷静に確保しろ」と言ってるわけで。）、室井が共同共謀正犯になることはないだろう。

また、共同共謀正犯が適用されているということは、現場の刑事も全て特別公務員暴行陵虐罪が適用されているはずでして。
全員、逮捕されてるはずじゃないのかな。

また、手を振り払っただけで公務執行妨害にはならないと言ってたけど、

刑法95条　公務執行妨害及び職務強要
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役又は禁錮に処する。
2、・・・

刑法208条　暴行
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

この暴行は、相手に対して有形力を行使した時点で発生するらしいです。
例を挙げると、相手に塩をかけたら暴行罪に問われます。
よって、手を振り払ったのも暴行罪に問われるんじゃないですかね。また、途中で思いっきり警官を振り払って転ばしてますが、あれはどうなんでしょう。

そもそも、車に轢かれたのって事故じゃないの？
ってかあの逃げた警官に責任はないの？
なんでわざわざ車道のど真ん中を逃げる必要があったの？
刑事が逃げた警官を車にわざと轢かせたわけでもないのに特別公務員暴行陵虐罪が適用されるの？
いや一番気になるのは、トラックに轢かれたのにあの死体の綺麗さ！あれ何？

・・・と疑問は尽きませんが・・・
あ、告訴の手順や内容なんかにも違和感を感じますね。

ま、フィクションだから仕方ないのかね。

しかしよくもまぁ身内相手に30何時間もぶっ続けで取調べを行い続けられるなぁ・・・「これ以上、身内を・・・」とか言ってた刑事（哀川翔）も、30時間も取り調べできるんだから十分に鬼ですよ。

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ではここからはフィクション批評（本格的にネタばれ有）。

そもそも、わかりやすい問題を扱っていない(特別公務員暴行陵虐罪、共同共謀正犯など)のにも関わらず、無理やり一般人にもわかりやすいように作るから、結局わけがわからない映画になってしまっているんですよ。
法廷物にするならするで腹を括って法廷で争おうよ。なに警察署ホールで争ってるんだか。

「容疑者」じゃなくて「被告人」にして欲しかったなぁ。

最後だって結局非合法（公安）だしさ。じゃあ何のために法を扱っているんだ。基本的なところでルール違反（違法行為、脅迫、妙に強すぎるコネ、老人一人に司法（検察だったか？）が影響されてる！）をされると興ざめする。あくまで正論で打ち負かして欲しかった。

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あ、以上の法的なこと全部については、もちろん間違っている可能性があります。まだまだ勉強してませんし、総じて適当ですので。

参照文献　

刑法判例百選?　148ページ　共同共謀正犯の意義

観て来ましたよ。原作を読んでかなり期待していったんですが、期待はずれでした。
緊迫感が無いし、重要なエピソードが削られまくってるせいで、ただの右翼系の主張を繰り返すだけの映画になってしまっていると感じました。国防ナショナリズムっていうの？そんな感じの。
原作はもっと面白くて深い話だったんだけどなぁ。
とりあえずイージス艦の戦闘シーンが少なすぎてがっかりですよ。もっとこう、戦闘機やミサイルとも絡んで欲しかった。せっかくイージス出してるんだから。

あと、原作読んでない人にも時間経過がわかるように「何月何日某所」とか、人物名とかをテロップで入れても良かったんじゃないかなぁ。

とりあえず監督や脚本家は踊る大捜査線シリーズを見習って、もっと見せ場を作ってください。

やっぱ140分ぐらいに収めるには色々削らないといけなかったんでしょうが・・・がっかりですよ。

・・・と新聞社から貰ったタダ券を使ったくせに偉そうに批評してみました。ま、映画観にいくなら、本を買ったほうが良いと思います。

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ようやく家庭教師にWeb登録して来ましたよ。正直、指導可能科目を少なくしすぎた感も否めないですが・・・受験生が来たら困るじゃないですか。つーわけで小学生の算数もできないということにしました。いや中学受験経験はあるけど、算数なんて、色々制約があって面倒くさかったような気がします。方程式を使えなかったり。あー今思えば理科ぐらい登録しとくべきだったな・・・。

ま、業界では一番厳しいとされている(らしい)塾の3次選考まで残ったことありますから。3次選考には行かなかったんで、なんの意味も無いですが。そういう薄っぺらい誇りを胸に、ただ寝転びつつ家庭教師センターからの電話を待ちますよ。